私立大の偏差値はなぜ高いか?
ランキングの話のときに,私立大の偏差値が高めに出ていることを書き,その理由に受験科目数の少なさを挙げましたが,理由はそれだけでしょうか?
一番カンタンで一番大きな理由として,「私立大自身が合格最低ラインが高くなるように努力している」ことが挙げられます。
受験生は「本質的な大学の素晴らしさ」よりもランキングが上か下かで「第一志望大」を決めていると考えた場合,少しでもランキングを上げておくことは大学の経営上,大切なことといえるのです。
模試の立場からいうと,ランキングは合格者の偏差値ラインから作られているもので,受かり易さの指標とはちょっと違うのですが,この偏差値が1点変わるだけで,「第一志望」から単なる「滑り止め」に格下げされてしまうのだとすると,私立大の方としても,あれやこれやの対策をして,1点でもランキングを上げる工夫をするわけです。
受験生が受験する機会を「募集単位」といいます。その募集単位の数を多く作り,代わりに1つの募集単位で合格させる生徒の数を少なく設定している大学があります。
受験生はいくつもの「受験機会」を得ることができ,受けた中で調子が良かった「募集単位」で合格することになります。
大学から見ると,何回も受験してくれる=受験生の数が(見かけ上)増える でも,合格者数は全体では同じ ということで,見かけ上の競争が激しくなり,合格最低点も高くなる という仕掛けです。
多くの私立大でも受験会場を地方にも作るなどして受験者数を増やして「倍率を上げる」ことで合格者を増やそうとしていますが,立命館は合格者数を増やすよりも,ランキングを上げることで「第一志望」の受験者を増やそうとしているようです。
また,私立大全体で見ると,進学者の半数以上は,推薦入試で確保されています。定員の半分以上を,競争のない推薦入試で早めに取ることで,一般入試では少ない椅子を取り合うことになります。これも,合格最低ラインを高くなるような努力のひとつといえるかもしれません。
備考・・・具体例として
入試方式(募集単位)は、4年制大学全体で、だいたい1万6千くらいあります。総合大学(複数の学部を持つ大学)で、だいたい50~100くらいの大学が多いのですが、最大数の募集単位を用意している大学は、立命館大学です。社会人入試など特別な資格が必要な方式を除いて、高校生が利用できる入試方式だけでも350以上あります。
立命館大学の人文学科の募集単位の実例
http://www.ritsumei.ac.jp/ritsnet/nyushi/ippan/lt/index.htm
神戸大学の人文学科の募集単位の実例
http://www.kobe-u.ac.jp/admission/undergrad/youkou2008/capacity.htm
その結果で起こる大学ランキングについては,河合塾の次の表を見比べてみてください。
http://www.keinet.ne.jp/doc/dnj/08/rank/k101.pdf
http://www.keinet.ne.jp/doc/dnj/08/rank/sc101.pdf
http://www.keinet.ne.jp/doc/dnj/08/rank/si101.pdf
募集単位を少人数に割った結果,センター試験での得点率ランキングでは,神戸大を超え,東京大文科三類に相当する数値となっています。
河合塾は実際に合否数を調査しているので,こののランキングは「予想」の域を超えて昨年の受験生にとっては「現実のもの」に近い数値のはずです。この難易の現象は書かせていただいたように,その私立大の学力の高い受験生を集めたいという営業努力の結果,起こる現象と思われます。
受験生が安易に「神戸大は難しいから立命館大に」と考えるケースがあるのですが,実際の難易ランキングを見ると,リスクに富む選択だという現状を把握しておいてほしいこととともに,5教科7科目受験の優位性を知っておいてほしいと思います。
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